
株式会社不二興産
取締役 東京営業部長 兼務 戦略企画室室長
株式会社不二興産
東京支店 企画営業担当
株式会社不二興産
東京支店 東京営業部 企画営業課
当社は収益不動産に特化した買取再販事業をメインに展開しています。個人のオーナー様が所有されていて、遠方の方が買うには難しい物件も扱っているのが特徴です。買取再販事業が売上の大多数を占めています。
買取再販事業以外では、不動産管理事業も行っています。管理を通じてオーナー様との関係値ができることから、不動産コンサルティング業や仲介業も同時に展開しています。また、不動産のクラウドファンディング事業も手掛けています。
組織体制としては、本社が名古屋にあり、東京支店と大阪支店の3拠点で展開しています。東名阪すべての拠点で買取再販をメインに行っていますが、不動産管理部門は名古屋本社と東京支店にあり、大阪にはまだ管理部門はありません。東京支店には買取再販の営業部隊が中心に配置されています。
不動産買取再販事業において、再販時の利回り精度をいかに高めるかは、当社にとって重要な経営課題でした。
一棟物件は区分マンションや土地のように取引事例が豊富ではなく、従来は不動産会社や仲介業者へのヒアリング、または過去に情報をいただいた業者への問い合わせをもとに相場を把握していました。
しかし、こうした手法では時間がかかるうえ、担当者の経験値や意欲によって判断がばらつくという課題がありました。特に、購入検討時に作成するエクセルシートの中でも最も悩ましいのが「販売時利回りを何%に設定するか」という点であり、客観的な根拠に基づく判断が難しい状況でした。
このような背景から、第三者的かつ信頼性の高い数値データを取得できるツールを探していたところ、インターネット検索でGate.を発見。当初は「ビッグデータ」をキーワードに検索しており、販売時利回りの精度向上を目的として導入を検討しました。データを基盤とした合理的で再現性のある判断を実現するための取り組みが、Gate.導入の出発点でした。

Gate.導入後は主に査定業務で活用しています。得意エリアでは自身の感覚とGate.の査定結果を照らし合わせることで「答え合わせ」が可能になり、判断の確信度が向上しました。一方、土地勘のないエリアではGate.の査定結果から新たな気づきを得られ、事業エリア拡大の判断にも活用しています。
また、豊富な賃貸査定事例をもとに賃料の上限・下限を把握できるようになり、収支計画の現実性が向上しました。以前は感覚的に高めに見積もってしまうこともありましたが、Gate.のデータをもとにより妥当なシミュレーションができています。
スピード面でも効果を実感しています。購入検討の初期段階で販売時利回りの根拠を迅速に提示できるため、電話対応や交渉着手の判断スピードが明確に上がりました。査定精度とスピードの両立は、現場業務における大きな改善点です。

導入後の効果として、まず査定精度の向上が挙げられます。従来はヒアリングと実績値のみで判断していたところに、Gate.のAI査定を加えた三方向の分析が可能となり、勘や経験値に頼らない合理的な意思決定が実現しました。
また、Gate.の査定結果は稟議書類の一部として組み込まれており、社内の意思決定スピードが向上しています。判断材料が明確になったことで、検討から購入判断、交渉着手までの流れがスムーズになりました。
時間短縮の効果は現時点では限定的ですが「悩む時間」が減り、事前調査の効率が向上しています。さらに、社内システム改修によりAI機能を実装する予定(2026年2〜3月頃)で、工数削減の加速が見込まれています。
一方で、Gate.が提示した査定結果のうち、実際の販売結果に最も近い数値を特定・検証できていない点が課題として残っています。現在はAI業者と協働し、過去データとGate.の査定結果を突合することで、より合理的な利回り判断を自動化する仕組みを試験的に構築中です。 今後は「AIが合理的に導き出した利回り」を基準にすることで、属人的な判断のばらつきを抑制し、より再現性の高い経営判断を実現していきます。

不動産業界はDXが遅れていると言われますが、当社は積極的にテクノロジーを取り入れています。今後の焦点は、Gate.をはじめとするAIサービスを活用し、自社の買取再販における判断精度と業務効率をどこまで高められるかにあります。
100%正確な答えは存在しませんが、第三者的で客観的なデータを最大限に活かすことで、再現性のある意思決定へと進化させていきたいと考えています。 そのための基盤づくりとして、Gate.のデータを活用したAI連携の推進と、社内フローの最適化を今後も加速していきます。